小倉祇園祭


日本映画史上に残る名画、稲垣浩監督の「無法松の一生」は二本制作されている。戦争中の坂東妻三郎主演作と戦後の三船敏郎主演作。どちらもあまりにも素晴らしいので見てない方はぜひ一度。特に戦中版のカメラマン宮川一夫の映像はあの時代としてはまさに奇跡的に美しい。そのどちらの「無法松」でも板妻、三船演じる松五郎の見せ場となっているのが小倉祇園太鼓のあばれ打ち。これが印象的で是非一度本物を見たいと思っていたのです。

小倉駅前に出たとたんにいろんな方向から太鼓の音が聞こえてくる。小倉祇園は太鼓の祇園、と言われ山笠に取り付けられた太鼓を打ち鳴らしながら山笠を引き回す。太鼓の打ち手は男性女性小さな子供までさまざま。小学校に上がったかどうかと言うような子供たちも見事にいなせにキメている。

囃子歌を歌いながら山笠の先頭を引っ張るのも小さな子供の役目。勇壮な太鼓のリズムと甲高い子供の声が妙に合います。

そういった主に町内単位の伝統的なグループの他にもかなりイカツい一団がいたり、山笠が無く単に太鼓を置いてハイテンポのダンスみたいな斬新なあばれ打ちを見せるグループもいたりしてなかなか飽きない。小倉は暗くなるまで街中で太鼓の音が鳴り続けていたのでした。