吉村作治の早大エジプト発掘40年展@福岡市博物館

AND2006-07-14


本日から始まったこの展覧会。そのタイトルの通り吉村作治率いる早稲田大学古代エジプト調査隊の40年に渡る活動によって発掘された出土品が一堂に展示されている。福岡を皮切りに日本全国各地を2年かけて巡回するらしい。

通常のこういった展覧会と比べて大きく異なるのは展示品が学問的テーマに沿って選ばれ並べられているのではないと言うこと。つまりここに展示されているのはエジプトの歴史ではなく「早稲田隊の歴史」なのだ。だから展示の序盤ははっきり言って地味な物ばかりが並ぶ。もちろんこちらに深い知識があるわけではないので学問的価値はわからないからパッと見の派手さで判断してしまうのだが、土器やコインと言った素人目にも日常生活で使うような物が大半。
やがて初めての美しい彫刻である男性像が現われる。こういった物にはその出土した状況の現場写真も添えられていて発見した時の興奮が伝わってくる。そしてクフ王の銘入りスフィンクス像やツタンカーメンとその王妃の名前が刻まれた指輪などいかにも凄そうなお宝が続いて出始めだんだんと興奮は高まってくる。
そして最後にクライマックスを飾るのは去年話題になった超ド級の大発見である最古の完全未盗掘ミイラの木棺とその青いマスク。世界初公開。これは凄い。3800年前と言うのが信じられないほど見事な彩色のまま保存されたマスクの美しさには息を呑む。横のモニターではそれが発見された時のビデオが流されていて、ミイラを包む布をほどき青いマスクが現われる瞬間にはわかっているのにドキドキする。まるでそこに立ち会っているかのような臨場感。しかもそれまでの前段で早稲田隊の歴史を追体験しているだけにこれが出た時の興奮はひとしお。
正直言って3000年4000年前の事を想像するのは難しいが、これを発見した時の事はリアルに想像ができる。こういう物の見方は初めてだけど凄く新鮮でエキサイティング。あ〜あ考古学者になれば良かったなあ、と思わせる展覧会でした。

吉村作治早大エジプト発掘40年展
2006年7月14日(金)〜9月3日(日) 毎週月曜日休館 ※7月17日(月・祝)は開館、翌日休館
 ※日曜・祝日、および9月1日〜3日は、17時30分まで  (入館は午後5時まで)
【開館時間】9時30分〜19時30分(入館は19時まで)【会場】福岡市博物館

その後の巡回予定は以下の通り
(2) 京都・「えき」美術館KYOTO=2006年10月7日(土)〜11月26日(日)
(3) 長崎・長崎県立美術館=2006年12月12日(火)〜2007年2月14日(水)
(4) 岡山・岡山オリエント美術館=2007年3月17日(火)〜5月13日(日)
(5) 仙台・仙台市博物館=2007年5月25日(金)〜7月22日(日)
(6) 早稲田・会津弥一記念博物館=2007年7月31日(火)〜9月9日(日)
(7) 宮崎・宮崎県立博物館=2007年9月22日(土)〜11月18日(日)
(8) 札幌・北海道近代美術館=2008年2月15日(金)〜3月30日(日)
(9) 熊本・熊本県立美術館=2008年4月10日(木)〜6月15日(日)
(10) 東京・古代オリエント博物館=2008年6月27日(金)〜8月31日(日)