春風亭小朝・林家正蔵二人会@福岡市民会館

林家ひろ木 「大安売り」
春風亭小朝 「富士山心中・晴れの日」
中入り
林家いっ平 「芝居の喧嘩」
林家正蔵  「読書の時間」

ひろ木は木久蔵さんの弟子。去年前座から二つ目に上がったと言うのが信じられないほど危なっかしいが、それで笑いを取れたりもする。まあ師匠ゆずりでそう言うキャラクターを狙ってるというのならいいんですけどね。

小朝は新作落語。富士樹海で排ガス心中を試みる不倫カップルの話と、父娘二人暮らしの家庭の結婚式前日の話の二本立てオムニバス形式。場内を暗転させて小朝一人に照明を当てると言う落語らしからぬ演出で、登場人物もそれぞれ男女二人だけ、芝居で言えば一幕一場というかなり実験的な演劇的構成。口調の軽いテンポの良さは相変わらずさすがで聴かせる所はしっかり聴かせてくれますが、、なんか納得行かないのよねえ。理由は後述。

いっ平が出る事をみんな知らなかったようで(もちろん私も。)出てきた瞬間どよめきが起きる。やっぱりテレビで多少なりとも顔が売れてると違うわなぁ。つまり小朝も含めて兄弟三人続けて登場ってわけだ。若く見えるけど今年36、真打4年目なんですねえ。将来父の名、三平を襲名する予定という噂だけに兄とは違って三平のキャラクターを追っているみたいですね。おでこにゲンコツを付ける「どーもすいません」ポーズだけでウケを取れると言うのもこの人だけに許された反則ワザですなあ。まあ三平への道は上手い落語家になるより数段難しいとは思いますが頑張って欲しいもんです。ワタシ前から意外とこの方好きです。

正蔵桂三枝の新作(創作)落語。高校で生徒各自が文学作品を持参する「読書の時間」があり、父が「龍馬が行く」のカバーに付け替えて読んでいたポルノ小説を間違えて持って行ってしまうという噺。そりゃ確かにわかりやすくて間違い無く笑いを取りやすいネタではあるけれど大名跡を襲名して人情噺もできるという「こぶ平」がどんな噺家になったのかを期待して見に来た客にとってはがっくりもいいところ。

そりゃ東京ならば定席含めいろんな会があるしそれぞれに合わせていろんな噺をやればいいってわけだ。滅多に生の落語を見る機会のない福岡の客に「これが正蔵です」、「これが落語ってもんです」ってつもりでこの噺をやったのなら何も言うまい。まさかそんな事はないと思いたいけど「どうせ地方の客だし落語なんて良く知らないだろうし古典なんかわからないでしょ」というつもりでこの噺を選んだのだとしたら福岡の客のみならず落語自体を馬鹿にしてるとしか思えない。

別に古典が良くて新作が悪いとも思わないけど、小朝、正蔵と二人いたらせめてどちらか一人くらいは人情噺で無いにせよじっくり聴かせる古典をやって欲しいと思うんだけどねえ…

次は9月2日に北九州芸術劇場でもう一度この二人会があるらしい。これでもまた同じような事ならワタシャこの人たちの会は二度と行きませン。

あ、でも東京でなら行ったりして…。我ながら節操無し…。

福岡でのオススメ落語会は
8/21(月)柳家小三治独演会 18:30イムズホール
9/9(土)立川志の輔・笑志らくごLIVE 14:00筑紫野市文化会館