とら寿し@万町


山口瞳遠藤周作が行きつけだったとかでマスコミには出てこないもののいろんなところで噂を聞く寿司屋。聞くところによると予約は受けつけず、開店の5時と同時に満席になり、ネタが少ない日は7時前に店じまいになってしまうという。最悪場所だけでも確認しようとダメモトで6時半くらいに行ってみたがすんなりと入れた。ここ何日か急に冷え込んできたためかお客が少ないとの事。冬将軍に感謝ですなこりゃ。
ネタは完全に地物のみ。地物といっても長崎の場合、大村湾橘湾有明海五島列島周辺の東シナ海と四つの海があって面白いとの事。この日はヒラメ、スマカツオ、アオリイカ、クマ海老ボイル、タイラギ、ヒラメの昆布〆、太刀魚昆布〆、鯵、カマス焼き、穴子、こんなところで全て。

ネタは厚め大きめで江戸前とはかなり趣が違うが、単なる生じゃなくひと仕事入ってるものが多い。ヒラメの昆布〆は分厚くて歯に絡みつくくらいねっとり。太刀魚も締めたことによりこれ以上無いくらいうまみが凝縮。この締め方はちょっと独特じゃないですか。五島の鯵はもう言うことなし。二品くらい切ってもらってぬる燗とにぎり一巡で7000円。長崎相場からすると安くは無いのだろうけど内容的には大満足。
カウンター内に一人立つご主人は寿司屋の大将というより小学校の穏やかな教頭先生といった風情。物静かだが話しかければ長崎のことにこにこと教えてくれる。噂にたがわぬいい店です。