餃子　福助＠お初天神

大阪


まず店のたたずまいがなんともたまらんです。30年くらい時間が止まったようなお初天神裏のシブ〜い横町に浮かび上がる暖簾と提灯はそのまま映画のロケセットに使えそうだし、引き戸をがらっと開けると迎えてくれるご主人とおかみさんの接客も柔らかくて居心地も最高。(酔っ払いや食べ物を平気で残すような客には厳しいけどね)ミナミとはまたひと味違う上品な大阪らしさ満点。

もろみをのせて食べる名物の餃子は、とりたててどうとは言わないけれど店の雰囲気ともあいまって、なぜかしみじみとうまいんですねえ。ちょっと他にはないタイプで大阪風ひとくちパリパリ餃子にあまり感心しない私としてはこの店はやはり大阪では忘れられない一軒。

なおお好み焼屋にもかかわらずお好み焼はかなり普通。「ふきよせ」（ほとんどキャベツ炒めちょっとイカ入り、でもなぜか美味い）と焼きそばはおすすめ。ちょっと全体に高い気がするのは否めないがここでは何となく許せてしまうのよね。

この界隈には他にも、夕霧そばで有名な「瓢亭」、水割りはもちろんビフカツサンドや自家製の燻製が美味いカナディアンクラブ専門の「バーなかしま」、イカ墨入りの黒いとんかつ「涿屋(たくや)」などいい風情の店がたくさんあります。思えばこの10年で大阪も結構変わりましたねえ。そりゃハービスもヒルトンプラザもいいけどこういう横町はずっと残っていて欲しいと切に願う。大袈裟では無く大阪の宝でしょう。関さんでも太田さんでもいいけど何とかよろしく。
特に福助の場合後継者問題がちょっと気になるところ。(余計なお世話。)