立川談志@天神エルガーラホール

生談志はもう二年ぶりくらいか。一席目はがまの油のシアトル、ソウル編付き。二席目はつるつる。第一印象はちょっと老けたかとも思ったが来年は古希、それもむべなるかな。
しかしエンジンがかかってからはまた印象が一変。ちょっと前は破綻しかかってもそれも本人承知の上と思え、ちゃんと戻って着地するところを聴く側も楽しめたが、今では本人もどこまで行くのかわからないんじゃないかと思わせる。「衰え」と「進化」とが共存してると言うべきか、70にしてこれをやり切るエネルギーたるや。これだけ自分の全てをさらけ出してしまう芸の凄まじさ。もうこれはいわゆる「落語」なんかではまったく無く「立川談志」のドキュメント。この「最後の落語家」の「今」を見られ、少しでも理解できることの幸せをつくづくと感じる。
志ん朝の「晩年」もほんとに楽しみだったけど「晩年」の入り口で逝ってしまったしなあ…
なんとかこれから一席でも多く談志を見たいと切に思う。東京にいる人がうらやましいよお。まあ福岡ならチケット取りやすいけど。

全部終わった後、客席に子供を見つけ「いくつ?」「九つ?」「大人になった時、談志を見たって言えば少しは自慢できるかもしれないよ」ってなことを言ってたけど、彼が将来この意味をほんとに理解できるようになれたらいいけど。

最近つるつるを演ることが多いようだが幇間(たいこ)がこの破綻を表現しやすいキャラなのか?そう言えば居残り佐平次幇間みたいなもんだし。個人的には三四年前に大阪で見た富久が忘れられない。あれも幇間だけど今演ったらどんな富久になるんだろう。